アップルウォッチは、5万円前後のスポーツタイプから、200万円もする高価なエディションシリーズまでを展開しているのだが、その中のビジネスタイプのものを購入した。
価格差はあるがシリーズ間での機能差はまったくない。これほどの価格差が同一モデル内にあるのだから当然大きな機能差があるものだと思ってしまうのだが、そこはさすがにアップル、見事にそんな期待を覆している。
私自身は、個人的に元々アップル派であるので、このウォッチの機能はとても重宝しているが、それに加えてデザインがやっぱり秀逸である。
以前、ソニーやサムソンでも同様な「スマートウォッチ」が発売された際にも試着をしてみたことがある。
元来こういったガジェットが大好きな私は、このスマートウォッチなるカテゴリーの発売をとても楽しみにしていたので、アップルに先行して発売されたこれらブランドのスマートウォッチも、衝動買いをしてしまうのではないかと心持ち心配しつつ店頭へと足を運んだ。
しかし、結局は数万円を出費してまで購入したいと感情を揺さぶられることはなかった。
今回このアップルウォッチを購入する時にその差が何なのかを考えてみたのだが、そこに「ウェアラブル」というキーワードがあるのではないかと考えた。
アップルに対して私が抱いている企業イメージは、故スティーブ・ジョブス氏から引き継がれているDNAとして、あくまで生活者の中に最新テクノロジーを融合させ、より豊かなライフスタイルを私たちにもたらしてくれる、そういった開発を目指す企業というものである。
これまで開発されたパーソナルコンピューターやipod、iphone, ipadは生活者の”行動”における便益を提供してきたが、今回のウォッチはウェアラブルなものであるだけに、機能的便益だけでなく、洋服と同様に身につけることの喜びや満足といった、より情緒的な価値も大切にしたのではないかと想像する。
実際に、アップルでは数年前にイヴサンローランやバーバリーというラグジュアリーブランドの責任者を引き抜いた経緯もあり、彼らの経験や知見もこのウォッチ事業の開発に必要であると考えたのだろう。
製品の機能や技術面からの視点をスタートとして開発するのでなく、あくまで使用する「人間」を中心に製品を開発すべきであると考えていることから、これまで高級時計を愛用してきたような高所得顧客層にもアップルウォッチを利用してもらいたいと考えたとき、アップルは、彼らが満足するための開発には、着用時の心理的な価値についても問題解決をする必要があったのであろう。
その答のひとつが、冒頭でも説明した18金を使用した200万円の価格帯であったのだと思う。
その他、心地よい音質や、電話着信時やアラーム時にそっと手首を叩いて知らせる動作など、五感すべてで楽しませるような工夫もされている。
このような評価が総合的な価値となり、どことなく携帯電話の縮小版的イメージの他社スマートウォッチには感じえない魅力をアップルウォッチは持っているというのが私の結論だ