2013年04月19日

中小企業と欧州デザイン

昨日、友人I氏が勤務する英国プロダクトデザイン会社が主催した「欧州デザインの力で日本の技術を世界へ」というセミナーに参加した。
内容は、日本の優れた技術を持つ中小企業と欧州基点のデザイン戦略を組み合わせることで、欧州市場への事業参入の可能性を高めるための提案内容であった。具体的には英国デザイン会社のデザイン立案プロセスや効果について、また欧州市場でのデザイン戦略での成功ポイントなどの説明であった。その中で個人的に特に興味深かったのは、欧州市場の現在のトレンド説明。すでに成熟市場となっている欧州市場では、商品そのものの価値だけでなく人間の五感にいかに訴えかけるかや商品の背景にある物語への共感などがマーケティグ戦略のポイントとなっており、「ダークレストラン」なる暗闇の中で嗅覚、聴覚そして食感を研ぎすますことを楽しみとするレストランがビジネスとして成立している、などの事例はとても面白かった。
そこで強調されいたことは欧州市場の今を理解するキーワードは、「本質的」「感覚的」「物語性」の3ポイントとのこと。そして印象的だったのは「高いスペック以上の何かを伝える必要がある」という、まとめのフレーズ。
このトレンドを理解することは必ず今後の日本市場を理解していく上でも参考になると思う。
ところで、今回は英国在住の日本人I君が日本開催で英国会社主催のセミナーを遠くロンドンから準備を行ってきたこと、そしてセミナーでは日本の中小企業への支援に対しての誠実な熱意が感じられたことなど、孤軍奮闘してきた彼の姿勢に私自身も本当に刺激になった。
またセミナー参加者との交流会では、多くの方から日本の中小企業の潜在的な成長力への確信の声が聞かれ、とても元気づけられる一時であった。
I君、本当にお疲れさまでした!!

セミナー内容はこちらまで→ http://seymourpowellseminar1.peatix.com
posted by [w] axis at 10:48| Comment(1) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年04月08日

自動車はバイオリン

日本経済新聞のコラム「経営の視点」は私の好きなコラムのひとつ。
いつも時代時代の経営の本質について端的に指摘してくれる。
4月8日付けの同コラムは、「自動車は道具か文化か」の題目で、製品のブランド力についての日本企業と海外企業の考え方の違いについて記述されていた。
ここでは、かつてF1レースを撤退した日本自動車メーカーと参入し続ける欧州メーカーとの戦略の差について指摘している。
以前、環境性能を高めることも経営戦略として意識する日本メーカーがF1レース撤退を選択したことに対して、欧州メーカーは「車はバイオリンであって、単なるスコップではない。だからコンサート会場で演奏をする」
と文化的意味を車にも求めるべきと反論する。
コラムでは、この日欧の製品に対して、単なる機能の追求だけでなく生活文化の中での役割の認識の差が、それぞれのブランド戦略の差にもなっていると指揮する。

この記事を読みながら思い出したのは、もう十年近く前に参加したセミナーのこと。
それはトイレタリー商品の日本最大企業である花王の海外戦略について当時の役員の方が話されたセミナー。
内容は、「花王の製品は、機能性をいかに高めるかを追求しているものの、結局はその国々に根付く文化や慣習とは切っても切れない日用品であり、文化商品である。故に、欧米では髪や肌の色の異なる東洋人がいかに機能性の高い製品を販売しても東洋発のブランド戦略では市場に浸透しにくい。結果花王では欧米発のブランドを買収することで市場に参入する方向へ転換した。車や家電製品は文明商品であるから性能だけで競えるので日本ブランドでもその市場で優位性を発揮できるため羨ましい」というものであった。
この発言は当時、海外アパレル事業を担っていた私にはとても印象深いセミナーであり鮮明に記憶している。

今回の日経新聞のコラムでは自動車製品を文化的に位置づけるか否かの指摘である。一方で花王のセミナーでは、自動車は文明商品であり機能の違いがその優位性に直結するとの解釈である。
十年を経て、ここから読み取れることは、社会が進化し成熟化するにつれ消費購買では使用便益以外の、所有の楽しさとか共感などの情緒的価値が益々重要になることを意味するのだと思う。

それにしても自動車の比喩がバイオリンであると表現する欧州人の文化度には感心させられた。
さしずめ日本人なら”茶道”と言えばいいのか。。。
posted by [w] axis at 13:20| Comment(2) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。