2013年05月28日

ブランドの拡張性とポンジュース

山手線に乗りながら、ビール会社の新製品の車内広告を見たときに思ったこと。
毎年この季節になると夏の需要を期待して各ビール会社はこぞって新製品を発表する。
ビール党は、また今年も新しい味に出会うことを楽しみにするのだろう。残念ながら私はあまり飲めないクチなので味の差がよくわからないだが。
その本当に美味しそうなビールのポスターには商品画像とともに商品名、そしてその商品名の由来ともなったキャッチコピーが載っていた。
ここで改めて思ったのは、何故日本のビールって次々と新商品名が出てくるんだろうと。
これまで海外に行った際、現地のビールを飲む機会も多かったのだが、そう言えば海外のビールはこんなに所謂「サブブランド名」はなかったと記憶している。
せいぜい「何々ライト」だとか、「何々レッド」だとかはあるものの、日本のように次々と現れては消えていく新商品名はないと思う。特に日本の商品名はマスターブランド(例えば、キリンビールとか)が目立たず、シーズン商品としての”〜味”などのサブブランド名がやたら目立つのだが、こういったブランディングは日本市場の特徴のひとつだと思う。
これは日本人消費者の嗜好の多様性にも影響されていると思うし、他の業界も多いがビール各社が、日本以外の海外市場展開をあまり視野に入れていないからだとも思う。もし同じ手法を海外のどこかの国に参入して実施することを想像すれば、他の多くの海外競合メーカーと店頭比較されるとき、これではなかなか市場に浸透しないし消費者の記憶にも残らないだろう。もちろん、個々のサブブランド名まで商標管理をすれば経済負担も投資見合いも割に合わない。
もちろん今後もビール各社が日本市場だけにとどまる場合や、昨今多く見られる海外現地ブランドのM&A方式での海外進出の場合はこの限りではないだろう。
そんな中で、アサヒの「スーパードライ」のブランディングは、知名度やブランド持続性、そして商品拡張性などにおいてブランディングとしてとても参考になる事例ではないだろうか。

面白いことに、そのポスターの横には添付画像のようにポンジュースの新商品(サブブランド)が掲示されていた。多くの人に親しみのあるポンジュースに久方ぶり(?)の新商品が出たようだ。画像にあるように”ポン・スパークリング”というポンジュースの炭酸飲料だ。他社との差別化も明確で、その果汁の濃さが特徴である。
これを見たポンジュースを知る消費者の多くはきっと、ポンジュースの製品ラインナップ拡張としての炭酸水タイプでかつ、果汁含有が他社より多く美味しそうであると、容易に商品イメージを記憶に留めることができ、一度飲んでみたいと誘引されるのではないだろうか。そして、決してポンジュース自身のブランドが希薄になったり、ブランドのポジションが変わってしまったりすることもないと思う。対照的に参考になる一方の実例だ。

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posted by [w] axis at 10:01| Comment(1) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年05月17日

ブランド力を測るためのヒント

5月15日、神戸の某大学にてディマンドチェーン論の特別講義としてケーススタディ講義を行った。
講義に参加した学生は100人程と多めであったが、その半分近くは爆睡(笑)。まあ自分自身の大学時代を振り返れば50人以上が講義を最後まで聴講していることは感心に値した。

今回は「需要予測の実務とは」をテーマに、企業三社を比較しながら、その特徴や背景、効果などについて整理した内容を発表した。残念ながら学生にとってはどれだけ平易な説明を行っても、実務経験がないために現場のイメージが掴まえにくく、講義の魅力度という点では自身の次回以降の反省点となった。
ただ、担当准教授からの講義後のフィードバックについては、今後のコンサルタント活動においても勇気づけられるお話をいただくことができ、大きな収穫だった。
その内容は、「売上の要素分解とビジネスモデルとの関係性」で、企業が選択する経営戦略が、売上増減を構成するどの因子に効果的であるかを解説するものである。例えばプル戦略とプッシュ戦略などの選択による違いがどの因子に影響するかなどである。
私自身の考えとしてはこの整理によって売上目標に対して効果的なKPI(重要業績評価指標)が設定でき、より納得性の高い経営投資判断に役立てるのではないかと思う。
ブランディングの世界ではその効果をいかに測定するのかが常に問題となっている。いくつかのブランディングコンサルタントはその価値評価方法を開発して、これが合理的な評価が行えるものと推奨しているが、多くは企業価値の増減算出を基にして測るもので、どちらかと言えば中小企業や未上場企業においてはやや使いづらいものであると思う。ましてそれらを測るため高額な報酬を支払うこととなればブランディグへの投資は躊躇してしまうだろう。とはいえ、経営者としてはブランド力を上げることが企業の収益力をどのように貢献できるかが理解できない限り、その投資の必要性は感じなくて当然と言える。こういった現状課題に対して、先ほどの売上要素分解からのKPI設定は一つの解決策になり得ると思う。

7月に第二回のケーススタディ講義を行う予定だが、果たして次回をどれくらいの生徒の目を開かせられるか。これが私の次回KPI。
posted by [w] axis at 11:12| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年05月07日

ブランド力はいらない?

日経ビジネス4月号「白物家電ウォーズ」の中で、最近サイクロン式掃除機で人気のダイソン会長のインタビュー記事が掲載されていたが、その中で「技術を追求する企業にとってはブランド力があると考え始めた瞬間こそ危機の始まりです。私はブランドを作ろうとはしません」というコメントがあった。
ブランディングコンサルタントを生業とする私たちには耳の痛い話である。
現在ブランディング関係者間では、「技術進歩は著しく、インターネットの普及などにより技術差はあっと言う間にキャッチアップされる。消費者にはそんな技術差はわからない、だからブランドが重要だ。いかに消費者に認知してもらいそして選択肢となるかだ」とブランディングを戦略として重視すべきと経営者に強調している。
特に、これまで技術ドリブンで事業を展開してきた日本企業に向け、グローバル競争を勝ち抜くための戦略としてブランディグが提案されている。
もちろん、このダイソン社の発言の背景には、長年ブランドというものが理解され社会に根付いている欧州文化との違いも読み取る必要はあると思うが。
今回私はこの記事を読み、当たり前のことだが、ブランド力は決して商品を勝手に強くする魔法でもないし、またそれによって技術者の技術への追求心を少しでも損なうことがあってはならないということを再認識させられた。技術の進化、革新による商品開発が最も差別化でき、価格競争力もある。だからこそ、本来日本企業にとって得意な領域なのである。ここをはずしてはいけない。
一方、記事本文中にダイソン社の広告宣伝に対し、ダイソン社の「吸引力の変わらないただ1つの掃除機」というコピーに関して以下の説明があった。
”日本の電機メーカー工業会加盟社は、「吸引力が落ちない」などの断定表現をしない自主規制がある。ダイソン社はその日本メーカーの弱点を突いた絶妙なクリーンヒットを打った”
この広告宣伝戦略は果たしてダイソン社が企図したものかは定かではないものの、いわゆるマーケティング戦略の一環であり同社もこれによる販売の恩恵は当然得ているわけだ。今後日本企業も工業会の自主規制緩和により、「吸い込み力の持続率」表記が許可されると後述されていたが、それでも消費者からはダイソン社のコピーの方が記憶に残るのではないかと個人的には思う。
最後に、ダイソン社の場合、すでにブランド力やマーケティング施策が成功していることあり、冒頭のコメントも説得力あるのだが、ブランディグコンサルタントの立場からは、ブランド力をつけることは決して表層的な打ち手ではなく、また技術力と密接な関係のある重要な戦略であることもここでは述べておきたい。
これについては今後またここで触れていこうと思っている。
posted by [w] axis at 15:04| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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