2013年08月29日

生活家電と美容家電

最近ヒットしている生活家電に、「レイコップ」というふとん掃除機がある。
韓国系のメーカーが開発したこのふとん掃除機は、数年前に開発されていたのだが、今年に入って通信販売を中心に売上が急拡大しており、大手家電量販店では欠品もしており予約販売のみのところもあるようで、クチコミを中心にその機能性が高く評価されている。
実は私自身もすでに通販で購入して使用しているのだが、天日干しにできないベッドマットのダニを根本から除去できるとのうたい文句に思わず、購入クリックボタンを押してしまった。
ところでこのレイコップという製品ブランドは、元々医師であった現社長が、子供のアレルギーを抜本的に治癒させたいとの想いから医師の仕事を投げ捨て起業し、開発したものである。
アレルギーを完治させたいとの志を持ち2年の研究を重ねた結果、ダニを根本から除去する機能としてのふとん掃除機が開発された。
同社のホームページには、それらの開発経緯がストーリーとして公開されているが、この「元医師が子供たちのために立ち上がった」という開発背景はとても説得力があり印象的だ。
ダイソンやお掃除ロボ・ルンバなど、最近はこの掃除系で話題になる製品が多く、このレイコップもこれに新規参入してきたわけだ。
一般的には、掃除機はすでに成熟カテゴリーであると思われるし、レイコップのようなふとん掃除機も、一昔前の日本家電メーカーが得意としてきたニッチ領域の単なる拡張製品と言えなくはないのだが、彼らが開発した製品はどれも、環境問題や疾病、ライフスタイル変化などの社会問題に対してどう貢献するのかを市場にメッセージとしてわかりやすく発信しており、製品機能以上の付加価値を確かに消費者に強く印象づけていると思う。
これはブランディングでいうところの「ブランドプロミス」にあたる。メーカーがそのブランドを通じて何を市場や社会に約束するかを表明するものである。ブランドプロミスの社会的価値が高いほど、より強固なブランディングにつながりやすい。
レイコップはまさにブランドプロミスで成功しつつある好事例と言える。

一方で、美容家電というカテゴリーも最近のヒット家電だ。
主に女性をターゲットとして「美しさや若さ」に貢献する家電製品だが、これはカテゴリーの新規性がヒットの要因となっている。
いかにも日本メーカーが得意とする開発手法なのだが、ブランディングの観点からは対照的なヒットカテゴリーである。

ブランディングが経営戦略で大切な理由は、価格競争での優位性を得ることや(アップル社製品は価格維持できている)、長期に渡る顧客のロイヤリティを保つためなのだが、現在ヒットしている美容家電が、今後日本を代表するグローバル製品へ進化するには、これからのブランディング構築がとても重要ではないかと思う。そしてその際、単なる美容への貢献価値よりも社会的貢献価値の視点を高めることが必要だと思う。
そうでなければ、新規カテゴリーであっても早晩、新興国メーカーの同種製品の参入により価格競争の消耗戦に巻き込まれ、コモディティ化してしまうだろう。


posted by [w] axis at 11:33| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年07月31日

清掃会社のブランディング

東京都内に事務所を構えていると、オフィスビル内で目にする機会が多いのが清掃管理会社の社員だ。
仕事がらブランディングについて考える際にふと、この清掃会社へのブランディング提案が面白いのではないかと思った。
多くのオフィスやビルメンテナンス会社が、清掃を外部業者に依頼することは多いのだが、オフィス内や洗面所などで見かける清掃担当者は概して、オフィス内環境を損なわないように、周囲と自然に溶け込むような様態で業務を行っている。その結果、周囲の人々からは、どの清掃会社も企業名や業務に携わっている人たちの姿を記憶されることはほとんどない。業者側が、その存在を消し去りながらビル内を回遊するよう努めることが、自分たちの使命のひとつであるかのような印象だ。
都内であれば清掃業者の需要は今後も増す可能性も高いし、一方で競合各社も増加傾向のようである。そういった状況下だからこそ、清掃会社にブラディングを採り入れることは一考の余地があるのではないかと思う。
積極的にビル内環境を、より豊かにするような清掃業者の総合デザインや周囲の人々に積極的に記憶に留めてもらえるような企業ブランディングががあれば、きっとその業者が指定される可能性が高まるのではないか。
参考になるのはSECOMやALSOKなどの警備会社で、警備という非日常的な業務でありながら、一般家庭でも抵抗なく企業ブランドとして認知されるようになったのは成功事例だ。
そう考えると、清掃会社のブランディングは取り組み余地の大きな事業機会であると思う。
因みに、ディズニーランドのカストーと呼ばれる清掃担当者は、来場客たちの「何を拾っているのですか?」の問いに、「思い出のカケラです。」と応えるのだそうだが(実際は人によって違うらしいが)、そんなエンターテイメント性が加わったブランディングができればオフィス環境も一層心地よくなるのではないか。
posted by [w] axis at 15:04| Comment(2) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年07月25日

大学講義にて

先日、神戸市にある流通科学大学でケーススタディ講義をする機会があった。以前から学長の石井先生と懇意にさせていただいたこともあり、今回の機会をいただいた。
大学に足を踏み入れるのは数十年ぶりであったし、また学生は自分の子供のような年齢でもあることから、どういった話をすれば彼らの注目を得ることができるのか、事前にかなり悩みながら準備を行った。
当日は、中国事業についての進出の経験談を中心に、日本と中国の文化差異や事業に与える影響などをなるべく平易なプレゼンテーションを使用して講義を行った。
果たして講義中は爆睡する学生もチラホラ散見されたものの、意外に多くの学生は最後まで講義を聴いてくれた。
後日、担当の先生より学生が記述した課題レポートをいただくことができた。約60名分のレポートは、一部は明らかに講義を聞いていなかったり、ただ講義内容を要約しただけのものであったが、予想外に多くのレポートは、紙面を埋め尽くして自分自身の感想をきちんと述べたものであったので、一気にすべてのレポートを読み尽くしてしまった。
興味深いことに、細かな点では個人個人の感想の差はあるものの、大きな傾向としては明らかに、講義中の出来事やコメントに同じような反応をしていた。
自分自身が事前に想定していた強調点にも反応はあったものの、驚いたのは、私が無意識にコメントしたことにも一様に反応していたことだ。
なぜ学生が同様にこれらのポイントに反応したのかの背景を、今回のレポートからだけでは到底理解することはできないものの、自分の講義がどのように受けとめられているかを聴講者の立場から客観的に確認できたことはとても参考になった。
自分が発信していることが、どう相手側に受け止められているかを確認する場面は日常的にはないために、気をつけていても、ともすれば独善的な発信をしかねないことが多いのではないかと思う。
仕事がらいろいろな発信をする機会が増してくると思うのだが、こういった事後感想などをいただく機会は自分への戒めの点でとても貴重な機会だと思う。
何十枚ものレポートをコピーして手渡していただいた担当の先生に感謝したい。
posted by [w] axis at 10:06| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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