2013年07月09日

スイッチングコスト

先日、投資ファンドに勤務されている知人と会食した際に聞いた話を。
彼の会社は企業の持続的競争力を分析しているが、産業の中で外食産業が最もその持続的競争力が弱いという。
その話を要約するとこうだ。
「100年企業なる、長期にわたり安定的経営が持続できる会社の要因は何かを分析する中で、供給側と需要側の両面から外食産業はその持続性が弱い産業であることがわかった。他産業と比較して供給側においては、模倣しやすい、規模の経済性が限定的などが要因であり、需要側では、競合他社への乗り換えが容易であったり、代替店舗を探すことも容易である、などからである。」
つまり、外食産業は比較論として、簡単に真似できて他社に追いつきやすく、お客さんも他店舗に乗り換えることに抵抗が少ない、ということだ。
その論拠として、一時大きな成長を遂げたファミリーレストランが回転すしチェーンの台頭により業績の影響を受けたり、盤石と思われた回転すしチェーンもファミリーレストランのメニュー強化で業績が停滞するなど相関関係が明らかだからだそうだ。
需要側の、他社に乗り換えやすいことは「スイッチングコスト」が低いこと、代替品や店を探しやすいことは、「サーチコスト」が低いと表現するのだそうだ。確かに自分自身の行動に当てはめてみると、衣料品などの購入に比べ外食の方がスイッチングコストやサーチコストは低いと思う。
ここでふと思ったのは、スターバックスやマクドナルドでも同様なのかと。
スターバックスは、創業より「サードプレイス」という、自宅でもなく会社(学校)でもない心安らげる”第三の場所”の提供でありたい、というコンセプトを打ち出している。またマクドナルでは利便性とともに、多くの子供を惹きつけるブランディングを行っている。これらからは外食産業であるからこそ、顧客が容易に他社店舗に振り向かないようなスイッチングコストを高める意図がうかがえる。
一方で多くの外食産業は、味や値段、サービスなどの機能的価値には労を惜しまず、競争力に磨きをかけているものの、需要側の情緒的価値を高めることについてはそこまでの重要性を意識していないように思える。特に欧米企業との比較において、それが顕著ではないだろうか。
今後、日本の外食産業においてもこのスイッチングコストの視点からブランド戦略を考えることは持続的競争力を高める一助になるのではないか、そんなヒントがこの話には隠されていると思う。
posted by [w] axis at 16:00| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

コカコーラとブランド戦略2.0

先日のTV番組「カンブリア宮殿」は、世界最強の会社であるコカコーラ社の特集で、とても興味深い内容であった。
番組ではコカコーラの世界戦略の各地現場取材とともに、来日したCEOのインタビューも交えながら、彼らが何故100年以上も成功し続けられているのかを解き明かすことがテーマであった。
焦点は、多くの企業人が知る、コカコーラの最強のブランディング戦略と、地域に密着したローカル戦略の深耕方法についてであった。
同社叩き上げでCEOであるケント氏は、司会者の村上龍氏も後述していたとおり、古き良きアメリカのファーザー(日本語の父親とは微妙に異なると思う)然としており人間的にとても魅力的な人物であった。まさにコカコーラブランドを体現するような彼が語った、この二つのテーマはどれも多くの学びがあった。
とりわけ、私の仕事にも関係しているブランディングについては、次のような非常に印象的なコメントを述べていた。
「ブランドは今や『好きである』だけでは不十分な段階に入った。顧客に『ブランド愛』を持ってもらうまででなければならない。そのためにソーシャルメディアで顧客同士がブランドについて多いに語ってもらう状況でなければならない」

世界最高峰の知見をもつ同社のブランド戦略において、「ブランド愛」と「ソーシャルメディア」が鍵であることをCEO自らが強調することはとても重要な示唆であると思う。
ブランドパーソナリティという言葉があるが、今後はこのパーソナリティを中心に据えたブランド戦略というものが大切になってくるのではないか。
ブランド戦略2.0が動き出す予感が。
posted by [w] axis at 15:51| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年06月12日

一杯のコーヒー

先日、休日の時間を利用してコーヒーセミナーなるものに初めて参加した。
元々コーヒー好きではあるが、本当に美味しいコーヒーの淹れ方に興味があったのがその理由だ。
セミナーは、ホームページで検索した中から、コーヒーバリスタが週末に、その勤務するコーヒー専門店で、6人までの少人数で講義をするというスタイルのものを選んで応募した。
実は、このセミナーは私の事前リサーチ不足もあったのだが、本来の目的であった「美味しいコーヒーの淹れ方をマスターする」を学ぶものではなく、「本当のコーヒーとは何か」という、よりアカデミックな内容のセミナーであった。それ故に、私のようなコーヒーにフレッシュミルクだけ足して、少しマイルドなコーヒーを楽しもうという輩にとっては、期待はずれのセミナーと言えなくもなかったが、結果としてこのセミナー参加には満足している。セミナー料金は、リーズナブルであったし、厳選されたコーヒー豆の土産付きも好ましかったが、これまで漠然としか知らなかったコーヒーの知識を高められたことで、何かコーヒーを文化的に飲む、言い換えれば大人っぽくコーヒーが飲めることに今後できることが単純にうれしくなったのだ。

このバリスタの講師は、コーヒーの世界品評会の審査員資格も有しているのだが、彼が今回レクチャーしてくれたことをかいつまんででみると、
@コーヒーの産地は大別すると三地域で、中南米、アフリカと東南アジア地域(驚いたのだが、ここには豪州も含まれており、最近はこの豪州産も美味らしい) Aその味の特徴はおおまかには、中南米=マイルドタイプでアプリコットや柑橘系ぽい風味、アフリカ=個性のある味で、グレープフルーツ、トマトタイプの風味、東南アジア=濃くが強く、樹木やアーモンド的な風味 Bコーヒーの品評をする際の10項目の審査基準と、「苦み」は審査項目にはないこと。なぜなら苦みは煎り方の度合いや、淹れ方の豆量などで後付けで加えることができるから・・・
などで、わずか2時間では理解できないくらいの情報量をいただいた。
講師の指導する方法で、三地域の代表的コーヒーをそれぞれテイスティングした際は、素人の私でも風味の差異がくっきりとわかり、一瞬バリスタの世界を垣間みたような気持ちとなった。とりわけ、ケニア産をテイスティングした際(挽いた豆80gに160ccのお湯を注ぎ、4分後スプーン8分目のコーヒーをズズッと、吸い込む)には、本当に”フルーツ”の香りが喉の奥から鼻孔にかけて広がり、改めてコーヒー豆が果実の種子であることをしっかりと認識させてくれた。そのフルーツは確かにグレーププルーツとトマトが混在したような味わいで、これは感動であった。

今回このセミナーで改めて思ったことは、「教養」の大切さ。大仰なことではなくて、こういった何気ない日常生活に根ざした知識を高めることは、日々の生活がより味わい深くなると思う。これからコーヒーを飲むときに、初めのひとくちを味わって、ほのかに感じる味覚から産地や特徴を想像すると、一杯のコーヒーの楽しみ方がより広がるに違いない。ワインのような奥行きの深い知識になると、少しかじる程度の学びには気後れを感じてしまいがちだが、こういった教養ならこれからもっと高めてみたい。

ところで、ハワイのコナコーヒーは高価であることでも有名なのだが、これについて講師に質問したところ、「他の産地と比較してハワイ産はそもそもの土地代や人件費などのコストが破格に異なるため高価となっている。味については、ハワイは低地であるために本来高地で熟成するコーヒー樹木と比較して熟し方が浅めになるためにさっぱりした風味となっている」とのこと。確かに希少性も知名度の高さにつながっているとのことだが、なんとなく三大地域と比較して味の差でなく、労働環境が恵まれ価格も高いだけのコーヒーというように理解できなくもなく、これまでコナコーヒーを漠然と特別視していた自分の無知識さへの戒めとなった。
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posted by [w] axis at 11:39| Comment(2) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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